Part 2: The Ninth Summer
Chapter 2.10: Keiko’s Persuasion
Scene 2.10.1:
“な, なんやと, こいつら. ふざけやがって. マジで許さん. ほんま許さん. 絶対許さん! ボコボコにしばき倒して串刺しにしたるわ.”
Victoria Sports Centerの食堂で, 壁掛けの大型スクリーンで昼のニュースを見ていたKeikoは無言で大激怒して, 目の前にある自分の昼食である, 人工培養の牛肉風ステーキを上からフォークでめった刺しにした.
7月3日午前, 後に, “The Great Keep Arson”と呼ばれるようになった, Hanasaka CastleのKeepを炎上された事件の犯行声明が文章で仮想空間上に現れ, 人々の目に留まり拡散され, テレビのニュースにも取り上げられた.
“Hanasaka市民の皆さん
私たちもあの美しいHanasakaのシンボルが焼け落ちたことには深い悲しみを覚える.
しかしながら, 陰の支配者たちがExperi-Citiesという虚構を作り, それを使って人類家畜化計画を強力に進めようとする中で, 陰険な支配を望まない, 自由を愛する人たちの覚醒のためには, どうしても必要なことだった.
私たちは, 偽善と欺まんに満ちあふれたExperi-Citiesをこの世から消し去り, 自由と希望を取り戻そうと活動している解放戦線の一組織である‘Hanasaka市民解放戦線’である.
支配者たちにとって都合のいい‘禁欲と従順’の宗教的教義を, Experi-CitiesのPhilosophyという美辞麗句で飾り立て, それを金科玉条とするAIが市民を洗脳し, おとなしく従う者には生活を保障し, 従わない者は容赦なく追放する. 自由な発言は許されず, 少しでも節度を欠くと途端に軽蔑し非人間的な扱いをする. これでは, 独裁的宗教国家と同じである.
市民たちを鎖でつないで飼いならし, 自らの思うままに操ろうとするその強欲な宗教的支配者は誰か, 皆さんはお分かりであろう. Castle Officeという, 単に城の事務仕事をするスタッフの集まりに思わせた, 謎の多い怪しげな組織が‘Unifier’という名で祭り上げるKasga Wisteriaである.
彼女は危険である. インチキな笑顔で人々をだまし, 心を狂わせ, 自分の奴隷にしていくのである.
もし城のKeepを失ったHanasaka市民がなおも目覚めないのであれば, 次は, 彼女を排除せざるを得ない. このままでは, Hanasakaは偽りの天使であるKasga教祖の支配下に完全に落ちてしまうからだ.
我々は, 自由と民主主義を否定する悪魔の化身, Kasga Wisteriaを今年中に始末する. 暗殺などしない. 堂々と本人の前に現れて, 正義の刀剣によってその首をはねる. そしてDigital Dystopiaの根城も粉砕する.
Hanasaka市民解放戦線”
この犯行声明文はやや奇妙に思えた. もし, このHanasaka市民解放戦線と名乗る団体がもっと多くの仲間を作りたいと本当に思っているのであれば, このような声明文を出すことは, すでにRusty-believerである者以外には, 全く逆効果と言えるからだ.
すなわち, 歌手でありKassenのadvocateであるにすぎない1人の民間人の女性に殺害予告をするというのは, テロリストにしては掲げる目標がずいぶん小さく思え, 何をそんなに仰々しく語る必要があるのか疑問に感じ, 共感を得られない.
それに, Kasga Wisteriaに好感が持てるかという意識調査では, “好感が持てる”, “どちらかといえば好感が持てる”の2つで, 隣国“Moto”で約6割, Hanasaka市民では約8割を占め, “どちらでもない”人も合わせると, いずれも約9割に達する. 中立的な意見の人たちとしても, 彼女を殺すことまで賛同するわけではないと考えると, そういう評価をされている人を殺すと宣言するのは, 圧倒的多数の人を敵に回すことになる.
しかし, Kasga WisteriaこそはHanasakaの真のリーダーと信奉する人たちの怒りを爆発させて過激化させ, あなたの敵は自分たちですよと表明することで, 分かりやすい対立の構図を作り出し, 憎しみと不安を喚起し増幅させることが目的であれば, こうした独りよがりな声明文でも効果があると言える.
熱烈なサポーターは市民全体からすれば少数かもしれないが, 熱いがゆえに簡単に火がつくし, なかなか消えない. 一度発火すれば安定的に燃え続け, ちょっと刺激すればたちまち燃え広がる. そういう火種を作ることができれば, その反射的効果として自分たちのほうの火も同様に安定性と拡張性を持ち続けることができるのだ.
余計な対立軸を自国に持ち込まれたくない“Moto”の政府は6月30日以降, Castle Officeに対し, UnifierのKasgaからメッセージを早く出すよう再三に渡って催促してきたが, こうした厄介な犯行声明が出されたことでいよいよ待てなくなってきた.
そしてそれはKassen communityの人たちのみならず, Hanasaka市民にとっても同じであった. 衝撃的すぎる出来事によって, 悲しみ, 怒り, 不安といったネガティヴな気持ちがそう簡単に和らがない中で, 春の陽光のようなKasgaから慈悲のこもった言葉を聞きたいと願いつつも, その彼女が今回の事件を知って再び症状が悪化し倒れてしまったとの報もあり, 今すぐそれは期待薄だとあきらめかけていた.
しかし, 対立と争いをあおる輩が出てきて彼女の殺害予告が出されるや, もう我慢できなくなってきた. ターゲットにされている本人から, 断じてそれは許さないという強い意思だけでも確認することで, 自分たちの心づもりを固めたいのだ.
KeikoのAR viewに, Captain Soaからの音声コールが入った.
“はい, もしもし.”
Keikoは自動で表示される承諾ボタンを空中でタッチして, 非常に不機嫌な声でぶっきらぼうに応答した.
“昼休み中, 悪いんだけど, 食べたら, 第1会議室まで来てもらえるかしら?”
“私, 今, めっちゃむかついてるんですけど.”
Keikoは, 回答になっていない返事をした.
“明らかにそのようね. 声で分かるわよ. 大事な話なの. Kasgaさんについて, Keikoさんにぜひ頼みたいことがあるの.”
特定の固有名詞が鼓膜を刺激し頭の回線が切り替わったKeikoは, “分かりました. すぐ…, あ, いや, 1分後に行きます.”と, 極めて従順な姿勢をとった.
“慌てて食べて, のどを詰まらせないでね.”
Soaに先読みされて注意されたにもかかわらず彼女は, ひどく痛めつけられたステーキを急いで口の中に放り込み, 案の定, のどに詰まって息苦しい思いをしながら, 会議室によたよたとたどり着いた.
室内には, clubのユニフォームであるインディゴ色のスポーツウェアを着たCaptain Soaのほかに, 水色のシャツに黒のパンツをはいたClub ManagerのAilaがいた.
妙に息が荒いKeikoを見てAilaは, “大丈夫, Keikoさん. 気分が悪いの?”と気遣った. 予想どおりの展開に, “全く.”とつぶやいたSoaは, Keikoが返事をする前に, “彼女は大丈夫です.”と代わりに答え, “Keikoさん, そのへんのいすに座って.”と, 室内に無造作に十数個置かれている木製のストゥールを指さした.
Keikoが適当に選んだストゥールに腰を下ろすと, ほかの2人も近くにあったものを手に持って彼女のもとに近づけて座った. SoaはKeikoから見て右手の方に座った. 彼女は左の耳の本来の聴力が, 骨伝導は使えるものの, ほとんどなかったからだ.
“急にお邪魔してごめんなさい, Keikoさん.”
Ailaが語りかけるとKeikoは, “いえ, お邪魔じゃないです.”と, 両ひざの上に両手を乗せて棒読みで答えた.
“Keikoさん, 緊張しなくていいのよ. Ailaさんは, あなたを叱りに来られたわけじゃないから.”
Soaは, 視線を合わそうとせずおとなしく縮こまっているKeikoが勘違いしているのではないかと疑った. 実際, Keikoは誤解していた. 直属の上司とその上の上司が直接自分と話をしたいというのは, 過去の経験に照らし合わせて, きっと自分が何かとんでもない悪いことをやってしまったのだろうと思った.
“安心して, Keikoさん. 今日はお願いしたいことがあるの.”
Ailaは笑顔を見せ, ここからは自動翻訳で会話することにした. SoaはKeikoと同じぐらいに彼女の母国語を使えるが, Ailaは日常の簡単な会話は問題なく使えるものの, この場では正確なコミュニケーションをとりたかったからだ.
“早速, 本題に移りたいのですが, Keikoさんは, あの犯行声明を読みましたか?”
“はい, 読みました. めちゃめちゃ腹が立っています. Kasgaさんに対してあんなひどいことをいうやつなんて, spearでボコボコに叩きまくってグサグサに刺しまくってHanasaka湾に沈めたいです.”
どこかのClub Managerと同じ発想の持ち主がここにもいるのかと思ったAilaは, “そ, そう. いいですね. 私もとてもむかついています.”と同意した.
“でも, 私はそうした制裁をせずに平和的に解決できる道があると思っています.”
いきなり話の腰を折られたKeikoは, “どういうことですか?”と尋ねた.
“簡単に言うと, Kasgaさんはめちゃくちゃ強いからです. Kasgaさんが本気を出せば, 余裕で解決できるからです. 敵はKasgaさんの本当の力を知りません. そうね, 例えば…, Keikoさん, あなたもKasgaさんから何か教えてもらうことがあると思いますが, その時, 彼女の言っていることが分からないということはありますか?”
“いえ, いつも優しく教えてくれますので, 私のようなバカにでも分かります.”
Keikoの表情がわずかに明るくなった.
“そうでしょう. あ, いや, あなたがバカだと言っているわけじゃないですよ. Kasgaさんは, 誰にでも分かるように説明できると言いたいのですが, これはすごいことじゃないですか? みんなそれぞれ考えていることは違うし, ほかの人が言っていることをすぐに理解できる人もいれば, そうでもない人もいるのに, 誰にでも分かるよう話ができるってそう簡単なことじゃないと私は思いますが, Keikoさんもそう思いませんか?”
“そうですね. すごいと思います. Kasgaさんは頭がいいと思います.”
Keikoはもう少し気分が乗ってきた.
“はい. とても聡明なかたです. しかも自分の優秀さを自慢したり, 私たちを見下したりするようなこともしませんよね. いつも私たちと同じ目線に立ってくれる. それに, 今, Keikoさん自身の気持ちが明るくなってきたように感じましたが, どうですか? Kasgaさんのことを話すだけで, あるいは思うだけで, 前向きな楽しい気分になりませんか?”
“はい, なります. 楽しいです. めっちゃ幸せな気持ちになります.”
Keikoの目が輝いてきた.
“そう. 私もそうです. みんな, そうです. みんな, Kasgaさんの言うことに納得するし, 楽しい気持ちになります. それって, とってもすてきなことじゃないですか? そんな能力がある人なんてめったにいません. Kasgaさんだからこそできると思いませんか?”
“本当にそうですね. 私は, Kasgaさんは神様みたいな人だと思ってましたけど, Ailaさんもそう思いますか?”
逆に質問されたAilaは, “はい, 私もそう思います.”と言って, 両手を組み合わせた. そして, “だから私は, 今, Castle Keepを燃やされ悲しんでいるHanasakaの人たちに対してKasgaさんから直接, 話しかけてほしいと思っています. ‘みんな, 大丈夫よ. みんなでHanasakaを守れば心配しなくていい. 私も殺されない. みんな幸せになれる.’と言ってくれさえすれば我々は, 少しは救われるのです.”と, Kasga自身に言ってほしいセリフを混ぜながら, 話の核心に入ってきた.
“でも…, Keikoさんも心配だと思いますが, 残念ながら, 今, Kasgaさんは病気で苦しんでいて, そうしたことが言える元気がありません. 私たちにもっと能力があれば, 彼女を優しく見守って回復するのを待つべきでしょうが, 情けないことに, 今, 正直, 全く待てないのです.
“このままでは, 怒りと憎しみに支配された人たちが暴れ出すのも時間の問題です. 報復が報復を呼ぶ泥沼の戦いに陥るかもしれません. 一刻も早く, Kasgaさんの慈悲にあふれた言葉で, Hanasaka全体を落ち着かせる必要があるのです. Keikoさん, 私の言っていることが分かりますか?”
なんだかとてもやばい状態になっていることと, この大ピンチを救えるのはKasgaさんしかいないことはKeikoにも理解できたので, “どうしたらいいんですか? Ailaさん.”と思わず尋ねた.
“KeikoさんからKasgaさんに電話をかけて, 助けてくださいとお願いしてほしいのです.”
Ailaは優しくかつストレートに要求を伝えた. しかしKeikoはためらった. Kasgaを説得できる自信がなかったのだ. 自分よりはるかに優秀なClub Managerのような人ができないことを自分ができるとは思えなかったのだ.
“でも私は, その…, 頭が悪くて, うまく話ができないから… かえって傷つけたりするかもしれんし, 変なこと言うたらまたCaptainに怒られるし…”
こんな場面で2つ上のボスに, 1つ上のボスが普段から威圧的な接し方をしているかのような印象をさりげなく, しかも悪気なく報告する部下にイラっときたSoaは, “あなた, それでも最強のFighterになる気があるの?”と, Keikoに直球をぶち込んだ.
“Keikoさん, あなたは最強のFighterになるつもりじゃなかったの? Kassen communityの頂点に立つKasgaさんが殺されたりしたら我々はどうなると思ってるのよ. そんなの想像したくないでしょ. そんなピンチを救おうとせずに, Kasgaさんに最強のFighterだと認められるとでも思ってるの? 最強とは, 単に力が強いとか, 運動神経がいいとか, そういうことじゃないわよ. この人ならきっと助けてくれる, きっと守ってくれる. そういう可能性が誰よりも高いことをいうのよ.”
やっぱり叱られてしまったKeikoは少しうつむいた姿勢で, “すみません. 私が間違っていました.”と素直に自らの非を認めた.
“じゃあ, 念のためにもう一度聞くけど, Keikoさんは, Kasgaさんを助けたいの? 助けたくないの? どっち?”
“助けたいです.”
“じゃあ, 電話はできるの? できないの?”
“できます.”
“今, できる?”
“はい. 今します.”
組織のトップが大きな視点で優しく語りかけて共感を誘い, 今やってほしいことを1つだけ具体的に示し, 現場監督者が本人の主義や願望から推し量って迷いやためらいを断ち背中を押す. 元来, 根が素直で正直なKeikoに対してはそれで十分だった.
“ありがとう, Keikoさん. 本当に助かります. Kasgaさんはあなたには心を開いています. KeikoさんはKasgaさんにとって特別な存在です.”
AilaはKeikoの肩に手を乗せて, Kasgaの説得を託した.
“Ailaさん, 私たちは部屋を出ましょう. Keikoさん, Kasgaさんへの電話が終わったら, 呼んでちょうだい.”
Soaがそう言い残して, 2人は部屋から出て行った. といっても, 2人とも気が気でないため, 部屋の扉の向こうで聞き耳を立てていたが.
Scene 2.10.2:
“Kasgaさん, 電話出てくれるかな… いつでもいいって言うてくれたけど…”
部屋に独りで取り残されたKeikoは早速, AR viewに表示されたでコミュニケーション・ボタンを空中でタップして, Kasgaのアイコンを選んでコールした. 数秒間, 無音の状態が続いた後, 呼び出し音が鳴った. 急に緊張してきて生唾をのんだ.
しかし呼び出し音が鳴り続けるだけだった. 少し時間を置いてかけ直しても同じだった. Kasgaは今, グアムにいるはずなので, 時差はほとんど無視してもいい. もう一度かけて1分間呼び出し音を鳴らし続けたが出なかった. Keikoはいらだち始めた.
“なんで出てくれへんのよ!”
あきらめずにもう一度かけた. やっぱり出ない. そして5回目のコール. わずかにカチッと音がして, やっとKasgaと回線がつながった. しかし電話の向こうからは何も聞こえてこなかった.
“もしもしKasgaさん? Keikoです.”
通信状態が悪いのかもしれないと思って, Keikoは大きめの声で話しかけた. しかしグアム側からは反応がなかった.
“Kasgaさん, 聞こえていますか? 今, 大丈夫ですか? あの, すみません, Kasgaさんが今, どんな感じか分からへんのに電話したから, その…, 忙しかったら…”
“Keiちゃん…”
Keikoが話している途中であったにもかかわらずお構いなしにKasgaが声を発した. いつものKasgaであれば, このようなことはない.
“私…, もう, ダメかも…”
Kasgaのいつもの声とはまるで違って, 暗くてか弱くて泣いているかのような声だった. 明らかに尋常ではない. 病状がひどいに違いない. 悪い方向への思考のスパイラルが止められなく, 相当参っていて, 追い詰められているとみていい. しかしKeikoは気遣うどころか, “あの, ダメってどういうことですか?”と普通に, 意味が分からないから教えてほしいという態度で質問した.
答える元気も乏しくなっているKasgaにとっては, そのようなまともな質問をされるときついが, なんとか気力を集めてきて, “私の存在自体, みんなに迷惑だから… もう, いいの… 消えたほうがいい.”と自虐的に自己を完全に否定した.
“そんなん, ワルモンが勝手に言うてるだけやないですか. あいつらはそうやって他人を傷つけたり怒らせたりして, 戦いを仕掛けてくるんですよ…, だからワルモンじゃないですか.”
Keikoは, Kasgaの気持ちがさっぱり分からず, “悪者論”という学問の入門編, つまり当然すぎる基礎を教えているかのように説明した. Kasgaは, Keikoが子供向けのアクション・ムービーの世界の理屈をもって, 大人の, しかもユーモアを楽しむ余裕が全くない精神状態の人に対して, 本気で説得しようとしているのか真意が分からず黙っていると, Keikoは自分の言っていることが通じていないのかと思い, “ワルモンが, おまえは悪いやつやって言うてんのを真に受けて, はい, 私は悪いですって主人公のほうが認めたらおかしいじゃないですか.”と, より丁寧な説明を試みた.
しばらく沈黙が流れたがKasgaがまた気力を再充填して, “どっちが悪いかなんて, そんなの光の当て方次第じゃない. あっちから見れば, こっちこそ悪者よ…”と弱々しい声で反論した. 善悪など相対的なものであって, 自分のほうが正しいと主張するのは構わないが, 結局, 独善的なものではないかと, Kasgaとしても当然の理屈を述べたが, Keikoは, Kasgaが自分の言っていることを理解しようとしない態度にいら立ち始めた.
“何言うてるんですか. Kasgaさんのほうが光ってるに決まってるじゃないですか. それに, ワルモンのワルモンは, イイモンじゃないですか.”
Keikoは大まじめに答えた. この危険なほど単純な正義の信念を, Keikoは自分なりの理解力で一貫性を持たせて堅持していることをKasgaも理解した.
“Keiちゃんは強いのね… Keiちゃんらしい.”
なんだかごまかされたと感じたKeikoは, “Kasgaさん, ウチの言うてること, 分かってくれてないんですか?”と不満を示した.
“そうじゃないけど… でも私は, どの道, 要らないの… 子供の時からそうなの. 父親も母親も姉も去って行って… 歌の神様にも見放されて声が出なくなって… 最後に, Unifierなんて邪魔だからって殺されるの…”
“なんでそんな悪いほうに考えるんですか. お父さんもお母さんもお姉さんも, Kasgaさんが嫌いになって逃げたわけやないじゃないですか. それに声が出なくなったからって, なんで歌の神様に見放されたってことになるんですか. ワルモンに殺すって言われたからって, なんで自分が邪魔者やって認めるんですか.”
“Keiちゃんがそう言ってくれるのはうれしいんだけど…, でも…, もう疲れたの. どっちでもいいの. もう…, ほんとにどうでもいいの… ごめんね, Keiちゃん…”
Kasgaは, 本当にもう気力が尽きかけていた. これ以上, 声も出ないぐらいだった. そんな, いよいよ命の炎が消えかかっているようなKasgaに対して, Keikoは慰めるどころか, ついに怒りが爆発した.
“バカッ! Kasgaさんのバカ! 何言うてるんですか!”
Keikoは思わずストゥールから立ち上がった. 扉の向こうに控えるAilaとSoaもびっくりして思わずノブに手をかけて中に入ろうとしたが, Keikoの主張をもう少し聞こうと, 思い留まった.
“Kasgaさんがワルモンなわけないでしょ! どう考えたって, みんなに優しいし, みんなが幸せになるために励ましてくれるやないですか. ワルモンはあっちです. せやからあっちが負けるんです. Kasgaさんは死んだりしないんです. そんなことも分からないんですか? Kasgaさん, Unifierやのに…, そんなんでいいんですか? Unifierは…, ワルモンなんかに負けんと…, みんなを守るんじゃないんですか?”
Keikoとしても, 大好きなKasgaにバカと怒鳴り, けんか腰で主張するようなことは今まで一度もなかったことであり, 悪者論を力説するにつれ興奮して涙がボロボロ出てきた.
“ウチが…, さっきから一生懸命…, 言うてんのに…, Kasgaさん, ウチのこと, バカやと思って…, ちっとも聞いてくれへんけど…, ワルモンは絶対あっちやのに…, こんなんであきらめるなんて… Kasgaさん…, Kasgaさんは…, ‘クソ, しばくぞ’とか, そんなんはないんですか? もういいって…, どういうことですか? ウチはアホやから…, 全然分かりません…”
それ以上は言語として成立せず, Keikoは声を上げて泣き出した.
Keikoの泣き声の音を浴びながら, Kasgaの心境は大きな変化が生じていた. まず, “バカ!”の怒りの一撃が, Kasgaの心にいつの間にかくくり付けられ, グゥーッと引っ張っていた鉛の重りの糸をシュパッと切断し, その真っ黒の塊がドスンと音を立てて地面に落ちる感覚を覚えた.
そして, 愛と勇気を信じる側の敵であるワルモンは絶対負けるというKeikoの“悪者論”に基づく彼女の必死の思いを乗せた一言一言が, 摩訶不思議な力を持ち, Kasgaの心の外面にこびりついた泥の殻をガツガツと次々叩き割っていき, Kasgaが元来持つ, まさに愛と勇気の器が露出し輝き始めたのであった. それに伴い辺りが明るくなってきて視界が広がり, わずか1分余りの間についに, いったい自分はなぜ落ち込んでいたのか, それさえも分からないぐらいに自分を取り戻した.
精神的に参っている人に対して怒鳴りつけるというのは, 基本的な対処方法としては避けるべきであろうが, Kasgaはそれによって奇跡的に復活した.
“ありがとう, Keiちゃん… 私が間違っていた… 本当にごめんなさい.”
Kasgaはいつもの落ち着いた声で, しかしそこには強い信念をにじませて, まずは自らの誤りを認めた.
“明日, Hanasakaに帰ります.”
それを聞いてKeikoはピタッと泣きやんだ.
“ほんまですか? Kasgaさん, 帰ってくるんですね?”
Keikoの喜ぶ声を扉の外で聞いた2人も思わずガッツポーズをした.
“ええ. そして皆さんに, Unifierとして愛と勇気のお話をします.”
Chapter 2.11: The Start of the Revenge
Scene 2.11.1:
“July 4, 9 E.E.
Club Managers,
7月8日10時, 全Fighterを率いてArenaに参集せよ. 決起集会をおこなう.
May blessings be upon you all and Hanasaka.
Kasga Wisteria, the Unifier”
ついに出た. やっと出た. とうとう出た.
息苦しくなる空気に支配され, 鉛色の暗い気持ちをなんとか払拭させたいHanasakaの人たちにとって, またこの先Kassenはどうなるのか不安で仕方ないKassen関係者やファンにとって, 待ちに待ったKasgaのメッセージがようやく出されたのだ.
彼女がFighter Keikoの喝を受けて復活しHanasaka Cityに戻った7月4日, Castle Officeは12時49分に, Kasgaの名で市内の4つのclubに参集を命じる文書を送付し, 同時にそれを掲示板で公開した.
そしてCastle Officeは今回初めて, 市外に16あるAlliance clubにもKasgaの名で書簡を出した.
“July 4, 9 E.E.
All Alliance Club Managers,
私たちと一緒にKassenを盛り上げている皆様, こんにちは.
私たちの城のKeepが先日燃やされたことに関し, 私たちの意思を明確に示すために7月8日に決起集会をおこないます. 皆様ももしご都合がよろしければ, 午前10時, Hanasaka Arenaにお集まりください. Kassenの仲間として心より歓迎申し上げます.
May blessings be upon you all and your hometowns.
Kasga Wisteria, the Unifier”
これを受け取ったAlliance clubで, 都合が悪いから行かないと表明するところは1つもない. そんなことを言えば, 末代までの笑い者にされるのは明らかだからだ. それに各clubとしては, これは自らの存在と城下町を全世界にアピールできる絶好の機会といえた. さらに言えば, Kassen communityの麗しきUnifierや各clubのスターFighterたちに生で会えるわけで, これはぜひ行きたい.
しかし後にCastle Officeから来た事務連絡では, fieldに入るFighterの数は1 clubで10人までに絞るよう要請があったため, Hanasakaに誰を派遣するかで大もめになるのは必至であった.
補足: Kasgaのメッセージの非代替性について Castle OfficeがKasgaの名で出すデジタルの書簡はすべてブロックチェーン技術を使った“NFT” (非代替性トークン) が付けられている. それによって, そのデータは真正性を担保され, またそれだけで財産的価値がある.
7月8日, 小雨がぱらつく中, HanasakaのclubはKasgaの参集命令に応じて各々の拠点からHanasaka Arenaに向かっていた. また今回は, 市外にある16のAlliance clubにもKasgaの名で参陣の依頼書が出され, もちろんすべてのclubが今こそ我らの名を上げんと快諾し一番乗りを目指せとHanasakaに集まって来ていた.
それだけではない. 当然ながら, この日に決起集会がおこなわれることは全世界の人たちに瞬時に知れ渡っているため, 自分もFighterだと思って自作のKassenのOutfitsを着た者, 怪獣やパンダや異星人の着ぐるみを着た者, カーニバル風の肌を露出した者, 肌に様々なペインティングをした者, そのほか単にこうしたお祭り騒ぎに参加したい普通の人たちや, このスペシャル・イベントでいい絵を撮りたい報道関係者などが世界各国からHanasakaに押し寄せた.
みんな不安だった. 心の中に, あるいは都市の中にどんより滞留している気持ち悪い空気をなんとかしたいのだ.
その心情に突き動かされた5万を超える人たちがCastle Parkを目指そうとしていると, 市の交通管制システム“Vulcan”が計算し, その周辺は大規模な交通規制が敷かれた. Arenaの観戦席は5千人分しかないため, その10倍を超える人が来ても入れず, Park内の3か所に設定されている大型スクリーンで見るか, 配信された映像を自分のAR viewなどで見るしかない.
しかし一般的なHanasaka市民は, それだったらわざわざそこに集まるのはやめてほしいと思ってしまう. そもそも大多数の人が野外に集結したり集結させたりすることをHanasaka市民はあまり好きではなかった. ゴミが出るし, 植物が踏まれたり倒されたりすることもあり, 普段から街をきれいに保つことに神経を使っている市民としては気が気でないのだ.
そうした市民の声もあり警察は, Castle Parkの周囲に三重に封鎖ラインを設け, Parkの方向への人の移動を制限した. そうしてPark内の人の数を2万人に抑えることができたが, 何もしなければ5万もの人が押し寄せて, すし詰め状態になり, 新たな大事故が起きていたかもしれなかった.
こうした措置は, 群集管理のためだけではなく, 殺害予告を受けているKasgaの命を守るためでもあった. 彼女を殺そうとする者が入ってくるのも出ていくのも困難なようにしているのである. また, Arenaの中とその周辺では, アサルト・ライフルを手に持ち, 武装を強化した警察官が警戒に当たっていた.
10時, Hanasaka Arenaに開幕を告げるいつものファンファーレが鳴り響いた.
“皆様, 大変長らくお待たせいたしました. Kassen CommunityのUnifier, Kasga Wisteriaが入場します.”
場内放送が流れた瞬間, Arenaの観客はもちろん, 中に入れなかった多くの人たちが, 大型スクリーンの前であるいは各自のAR view上でそれを見て, “待ってました!”と, 拍手喝采した.
6騎の護衛を前後に3騎ずつ, “<” (less-than sign) と“>” (greater-than sign) の形で囲まれた, mech-horseに乗ったKasgaが, 北東側のコーナーからfieldに入ってきた.
護衛隊は全員, 白を基調に所々に黒と赤のストライプを入れたパトカーをモチーフにしたmech-horseに乗り, crestがない漆黒の丸いタイプのhelmetをかぶり, 黒を基調としたOutfitsを着けていた. そしてFighterたちと違って, 表面にうろこ状の切り込みを入れたタイプのtorso protectorを身にまとい, そのうろこ状のものに穴が開けられそこに紫色の太いひもが組み通され, 気品さと威圧感を醸し出していた. また彼らは背中に, Hanasaka Cityの紋章である“Four Heart Emblem”を描いたvertical flagを差していた.
彼らは, 開会式や閉会式などKasgaが武装をして登場するイベントでは, それに合わせてOutfitsを着ているが, 決してお飾りの存在ではなく, 市内のPolice DepartmentとEmergency Services Departmentに加え, 隣国“Moto”の防衛機関からも派遣された男女同数の者によって構成された, ボディーガードと応急手当てのプロである.
そしてKasgaは, 全身が金色と銀色の鱗をまとったような不思議なまばゆいmech-horseにまたがっていた.
彼女のOutfitsも黒を基調にした, 護衛隊のものと同じタイプであったが, torso protectorとskirtの表面に付けられた穴には赤紫のひもを主に組み通し, さらに金, 萌黄, 紺のひもも所々で通した, 色鮮やかなものであり, shoulder protectorの外側や, hip protectorの大腿部の前面には, Hanasaka Cityの象徴であるFour Heart Emblemの銀箔が蒸着され, 漆黒の桃型のhelmetには金色に輝くFour Heart Emblemのcrestが付けられていた.
それは, Fighterたちとは明らかに趣が異なる佳麗で手の込んだ装いであった. 全体的に, 抑制のきいたきらびやかさとかわいらしさのある, 女性のUnifierのために作られた, 戦うことを想定していない芸術作品のOutfitsといえ, その姿を見る者は思わず感嘆の声を出さずにはいられなかった.
Kasgaたち7騎は左に折れて, far-sideのside-line沿いに進み, Kasgaはmech-horseの上から左右に笑顔で手を振った. 左側にはArenaの東側スタンドを埋める満員の観客たち, 右側には市内の4つのclubと市外の16のAlliance clubのFighterたちがずらっと並び, 熱い歓声と拍手が送られた.
“やっぱり, いつもより人数が多いわね.”
左側の観客たちはいつもと同じであるが, 右側にいるfield上のFighterたちは, 通常の開会式では市内のclubに所属する200人余りであるところ, 今回はAlliance clubが加わっているため360人余りと2倍近くいるため, 彼女が自分のteamの列に近づいてきたときにFighterたちが一斉に発する鬨の声も明らかに大きかった. そして式典の時は, Fighterたちは自分のclubのvertical flagを背に差しているが, それが20種類もあると彩り豊かで美しさを感じる.
“みんな, 本当に来てくれたんだ.”
Kasgaはうれしさのあまり目頭が熱くなった.
Scene 2.11.2:
“本番はね, 左側は満員のお客さん, 右側は200人以上のFighterたちが並んでいて, みんな~, 元気~って感じで笑顔で手を振るの. あんまり激しく振るんじゃなくて, 優雅な感じでね.”
3年前の6 E.E.の4月, Spring Gamesの直前, 先代のUnifier, Haruna Laligurasと2代目になったばかりのKasga WisteriaがHanasaka Arenaで, 数日後に開かれる開会式の予行練習を一緒におこなっていた. Harunaは体調不良を理由に前年の12月にUnifierの役割をKasgaに譲っていたが, season gamesにUnifierとして登場するのはその年の春におこなわれた第11回目のseason gamesが初めてであった.
この日はHarunaの体調が比較的良かったことから, 彼女の希望で姉妹一緒にArenaを訪れていたが, それがこのArenaで2人が時間を共にする最後の日となった.
つばの広い麦わら帽子をかぶり, ピンク色のブラウスに白いデニムのパンツをはいたHarunaは, 久しぶりに妹に会えて一緒にお出かけができたせいか終始陽気だった.
美しさと優雅さを兼ね備えたHarunaは, 今後百年間これ以上は出てこないほどの美女と言われていたが, 病気で体重が落ちているとはいえまだまだ十分美しく, 彼女の笑顔も人々の心を温かくし, 誰も彼女に逆らえなくなる魔力を持っていた. Kasgaと比べてどちらがより美しいかは人の好みにもよるが, Harunaは身長が175センチありKasgaよりやや高く, 肩幅もあり, 声の高さもより低かった.
“どうしたの, Harumi? 浮かない顔ね.”
護衛用のmech-horseに乗って, Kasgaより少し先を進んでいたHarunaが速度を落として, 鱗があることから“Dragon Horse”と呼ばれているUnifier専用のmech-horseに乗った, ビジネスウェア姿のKasgaの左横に並んで声をかけた. 姉妹の間では, Harunaは妹のKasgaをHanasaka市民になる前の名前で呼んでいた.
“お姉ちゃんじゃなくて私がDragon Horseに乗っているのは, やっぱり違和感ある.”
Hanasaka Cityの歴史が始まると同時に始まったKassenにおいて, そのたぐいまれな美しさと存在感から, Haruna=Unifierというイメージが, 妹のKasgaを含め人々の心に強烈に刻み込まれていた.
彼女が長い黒髪を内側から手で優しく払う姿はまるで神話の世界の女性が竪琴を弾いているかのようだと言われ, 彼女が詩を朗読していると鳥や犬猫が寄ってきておとなしく聞いていたという伝説もある, そんな偉大すぎる先代と自分が比べられてしまうことに, Kasgaは強い不安を感じていた.
“Harumiが緊張しているのは分かるけど, でもHarumiは私のコピーじゃないんだし, そのうち自分らしさも出せるようになるわよ. 最初はぎこちなくてもいいし, みんなから, 新しいUnifierはなんだか頼りないなあと思われるぐらいでちょうどいいのよ. 神々しいオーラも要らない.”
“そうだといいけど, そんな頼りない人を見に, みんな, 来てくれるかな?”
Kasgaは, 開会式で自分が入場してくるときに観戦席ががら空きだったらどうしようと, 心配しても仕方ない心配をした.
“大丈夫. 私が保証する. Kasga Wisteriaは有名な歌手なんだし, それにHarumiは私の妹よ.”
“まあそうね…, お姉ちゃんの威光は使わせてもらうわ.”
“うん, Harumiなら問題ない. Harumiの笑顔と声は本当にすてきだから自信もって. それにHarumiはすてきな歌詞を作れるし, 話も上手だと思う. だから, ‘Philosophy’に従って, みんなに明るい未来をお話しすれば, きっとみんな新しいUnifierを受け入れてくれるわよ.”
“うん, 分かった. ありがとう. 私もHanasaka市民だから, Philosophyは理解してるし実践もするわよ.”
“ありがと. 良かった… まあ, 私は, HarumiがUnifierを引き受けてくれただけでうれしいの. 私はね, HarumiはきっとHanasakaの歴史を変える偉大なUnifierになると思っているの.”
Harunaは, 自分で歌詞を作って自分の声で歌うKasgaのほうこそ、Unifierとしての素質を持っていると信じていた.
“ちょっと~, 変なプレッシャーはやめてよね. やっぱり緊張するでしょ.”
Scene 2.11.3:
“お姉ちゃん. 私は間違っていないんだよね…”
Kasgaは, 同じ道をDragon Horseに乗って通った時の姉との会話を回想しながら, fieldの東側から南側に回り, Arenaの南側スタンドのほうにも手を振って, さらに西側に回り, near-sideのside-lineとcenter-lineとの交点の辺りに用意されている演壇のほうに進んでいった. FighterたちはKasgaのいる方向に少しずつ体の向きを変えて拍手や掛け声を送り続けた.
演壇のそばまで来るとKasgaはDragon Horseから下りて, 先にmech-horseから下りていた護衛の1人が彼女のDragon Horseを少し離れたところに引いていった.
演壇は高さが1メートル余り, 一辺が3メートルほどの正方形で, 普段は組み外されて地面の下にある倉庫に格納されている. 壇の南側に付けた3段のステップで彼女が壇上に登ると, Arena全体から大きな歓声が上がった.
“初めての開会式以来かな, この緊張感…”
Fieldにはすでに20のclubのFighterたちが勢ぞろいし, 皆, Kasgaのほうに注目していた. いつもの開会式では, ここでFighterたちのほうに手を振って笑顔を振りまくが, 今回は真剣な表情で全Fighterを見渡すに留めた.
“これより, 私たちを百年以上の長い間見守り続けてくれたCastle Keepの在りし日の勇姿をしのび, 1分間の黙とうをささげます. ご来場の皆様も, 身体に支障のないかたは全員ご起立ください.”
アナウンスが流れると場内が一気に静かになった. Fieldから見るとKeepがあった方向は西北西であるため, Arenaの西側と北側の外壁となる巨大なPetalが完全に下ろされていた. Kasgaは壇上でくるりと反転しその方角に体を向け, helmetの緒をほどいて脱ぐと, 白いひもに束ねられた肩甲骨の下ぐらいまで伸びた黒髪が現れた.
そして護衛の1人が壇上に登ってKasgaからhelmetを受け取り, 壇から下りて小さな台の上に置いた. そうしている間に, 護衛隊やFighterたちもhelmetを脱ぎ自分の手で抱え, もう片方の手は胸に当てた.
そして, “黙とう.”の合図とともに, 全員でCastle Keepのあった西北西の方に向かって目を閉じた. Battle areaのside-lineは正確に南北に沿って引かれているため, KasgaやFighterたち, そして東側スタンドにいる観客たちは, 真西を向いていた体を少し右斜めに向けていた.
この事件では幸いに死者は出なかったが, Castle KeepはHanasaka Cityのシンボルであり精神的支柱であり, その炎上は, 単なる建造物の滅失とは思えず, “殺された”という感覚に近いものだったため, ここで追悼のようなことをしても不自然には思えなかった.
“ご来場の皆様はご着席ください. 続きまして, ‘出陣の儀式’をおこないます.”
Kasgaは体の向きをそのままにし, 彼女が立っている壇の両側に付けられたステップを2人の護衛がそれぞれ上がってきて, 彼女の背後の左右についた.
Kasgaの前には, 壇の四角形に対して西北西のほうにやや斜めに向けられた, 脚の長さが腰の高さほどある四角い木製のテーブルが置かれていた.
そして3人が改めてCastle Keepのほうに向かって一礼し, Kasgaはまず右に控える護衛の1人から, アワビの貝殻と, 乾燥させた栗の実と, 15センチほどの長さに切り取った乾燥させた昆布がそれぞれ4つずつ盛られた, 土でできた平らな器を受け取り, それをテーブルの上に置いた.
続いて左に控えた護衛から杯を受け取り, その者が持つ金属製の小型の入れ物からコメの酒がそこに注がれ, それをそっと持ち運んで, 3種類の自然の恵みを載せた器の隣に置いた. そのうえでひと呼吸おいてまた一礼をした.
これはHanasakaを含む島々の中世の時代になされていた出陣の儀式を参考に宗教色を抜いて簡略化したもので, season gamesの開会式でいつもやっていることだったが, 今回の集会でもおこなった. ここで使われるアルコール飲料は, コメ由来のものに限らず, ビールやワインやジンなど様々で毎回異なっていた.
それが終わると護衛の2人は壇から下り, Kasgaは自分が立つ壇の10メートルほど前方にある, 旗を掲揚するポールのほうを向いた.
“これより‘Four Heart Flag’を掲揚するとともに, ‘Hometown’を斉唱します. ご来場の皆様も, 身体に支障のないかたは全員ご起立ください.”
再び起立を求めるアナウンスが流れ, Arena内のほとんどの人が立ってポールのほうを向いた.
この‘Hometown’という名の歌は, この辺りの島々で百年以上前から歌われていた歌をベースに英語の歌詞を付けたもので, 自然豊かな田舎をイメージさせるものだった.
従って, 機械化が進んだ都市のHanasakaで歌うと若干の違和感は否めなかったが, 出自不問のHanasakaにいても各自が自らの故郷を思う気持ちまで否定されるわけではなく, また逆にその故郷を忘れたい人にとっては今住んでいるHanasakaを故郷だと思っても良く, それぞれ歌を歌いながら思念する意味があった.
歌の前奏が流れ始めると同時に, Hanasaka Cityの紋章であるFour Heart Emblemを描いた“Four Heart Flag”がゆっくりと, 歌声に包まれながら小雨が降る曇天に向けて上がっていった.
これもいつも開会式でやっていることで, Kasgaの声量のある美しい声とFighterたちの様々なタイプの大きな声が調和され, それがこのArena全体に響き渡ると, 聞く人の心を揺さぶり, みんなが一体感を覚えるのであった. ただこの日は, Kasgaはあまり声を張らず, ほかの多くの人たちも控えめな声で歌ったため, いつもと違ってその日の“Hometown”は鎮魂歌のような重さを感じさせた.
1番だけ歌って, Four Heart Flagがポールのてっぺんにたどり着くと, 観客たちは着席し, Fighterたちも胸に当てた手を下ろした.
そしてKasgaがFighterたちのほうにゆっくりと振り返った. いよいよKassen communityの統合の象徴としての演説である.
“さあ, お姉ちゃん! これからよ. どうか見守ってね.”
このときのKasgaはいつもの開会式とは全く違った表情をしていた. ニコリともせず, Fighterたちを突き刺すような眼差しで, 心の底からグツグツ煮え立つ熱い感情を静かに抑えながら, field全体を見回していた. このようなKasgaの顔を見た者は誰もいないため一瞬驚くが, 同時に, 口をぽかんと開けて見とれてしまうほど凛々しく, これもまた彼女の魅力なのかと感じざるを得なかった.
“練習ではうまくいった. だから, どうか, 大きな声が出ますように.”
Kasgaは右手に扇を持ち, 左手を腰に当て, 深呼吸をして, “Fighterたちよ!”と力強い口調で呼びかけた.
Kasgaは腹の底から大きな声を出す歌手なので, もちろんマイクを通しているが, その声はArena全体に響き伝わった.
“出た! いつもどおりに声が出た!”
Kasgaはガッツポーズをしたくなるぐらいにうれしかったが, そのまま表情を変えずに, “今日は, 急な要請にもかかわらず, よくぞ参られた. 感謝する!”と, 通常の優しくて柔らかいKasgaの話し方とは全く違う, 戦う集団のリーダーが戦意を鼓舞するスタイルを今回初めて採った.
そしてKasgaは, 前のほうに並んでいる市内のclubのFighterたちの後ろのほうを扇で差し, 声のトーンを少し和らげて, “そしてAllianceのFighterの皆さん.”と話しかけた.
“遠路はるばるよくぞ参られた. 本当に感謝する. そして心より歓迎する!”
HanasakaのclubのFighterたちとAllianceのclubのFighterたちが, “オーッ!”と力強く声を上げて応じた. 特にAlliance clubのFighterたちにとってKasgaから直々に声をかけられることなどめったにない貴重なことであり, しかも感謝と歓迎の言葉を受けて, 中にはこの時点で早速, 感涙する者もいた.
Kasgaは, さらに声のトーンを和らげ, “会場の皆さん, そしてこの決起大会をご視聴の皆さん.”と東, 北, 南の三方にあるスタンドのほうに体の向きを変えながら両手を広げた.
“今日は本当にありがとうございます. こんなに多くの皆さんとご一緒できて本当にうれしいです. 皆さんは最高です!”
今度は観客たちが, Fighterたちに負けじと, 地鳴りかと思うほどの大きな歓声を上げ拍手や口笛が鳴り響いた. Kasgaはそれを静かに聞きながら, 頭の中でゆっくり10数えた後, 持っていた扇を, 小さな菊の模様が施された絹の腰ひもに差し込み, “Fighterたちよ!”と再び呼びかけ, “少し私の話を聞いてほしい.”と言って落ち着いた調子で語り始めた.
“知ってのとおり, 私はこの5月に体調を崩して声が出なくなって, しばらく海外で療養した. Unifierという仕事が重責だということを言いたいわけではない. 私も普通の人間だから, たまには心の元気がなくなるときもある. そう理解してほしいと思っている.”
多くのFighterたちもその点に異存はなかった. 現にFighterたちはKasgaの発症をきっかけに, Kasgaが抽象的なマスコットではなく, 生身の人間であることを認識し直したのである.
“そして病状が改善してHanasakaに戻れると思った矢先, テロリストに城を燃やされた. 百年以上前に再建されたあのCastle Keepが, まるで火矢を射られて火あぶりの刑に処せられたように思えて, むごくて, つらくて, 私は倒れてしまった…
“どうしてこんなことになったのか, それを考えているうちに私はうつの症状がひどくなった. そしてあのHanasaka市民解放戦線などと名乗るテロリストから殺害予告を受け, やっぱり私がいるからこういうことになったのだと思い悩んで, 私自身を消し去りたいと思うほど, 精神的に崩壊する一歩手前まで落ち込んだ.”
聞いていたFighterたちは, 敬愛の度合いに差はあれど, “どちらかといえば好感が持てる”以上であることは間違いないKasgaから, 自らの心の病やつらさを淡々とストレートに語られたことで, その痛みが心に染みてきて共感した. 彼女がこんなに苦しんでいたのに自分はいったい何をしていたのかと自責の念に捕らわれる者もいた.
“しかしあるFighterが教えてくれた. Unifierは, 愛と勇気を語って人々を守るべきじゃないのかと. その役割を簡単に放棄していいのかと. ひどいことを言われて悔しくはないのかと.”
Sapphire Westに所属する, その“あるFighter”, Keikoは, 今まで神様のお告げを聞くかのように手を組み合わせて, 一言も漏らさず耳から脳に入れたいと全神経を音声受信に集中させていたが, その信号が言語野で処理され国語的に理解すると, “え? ウチのこと?” と思い, キョロキョロと周りを見出した.
KasgaとKeikoが仲良しであることはKassen communityでは公然の秘密であり, その“あるFighter”がKeikoを指していることは, Kassen歴が長いFighterたちは気づいているため, Keikoは自分に視線が集まっているのをなんとなく感じたのだ. しかもその視線には, “何それ? そんな偉そうなことを言ったの?”という多少の非難が混じっていることも感じ取れた.
“私は, そのとおりだと思った. そう, 確かにそう… 私は, 先代のUnifierから, ‘Philosophy’だけはしっかり守るよう教えられた. だから私はそうしてきたつもりだった. でも…, だからといって…, どうしてこんなに自分は邪険に扱われないといけないのか. 女がUnifierだからなのか. 歌が歌えるだけの人間がUnifierだからなのか… でも, そんなのやっぱりひどい… 私だって意志ある人間だし, 悔しい… そう思った.”
ここの一連のセリフは, Hanasaka市民に深く突き刺さるように計算されているといえる. Kasgaが実験の理念をきちんと理解し実践する人であることは誰もが知っており, それは市民の模範といえた. そうした人を殺すと言うようなことは, Experimental City Hanasakaと市民全体の否定であって, Kasgaがどんなに優しい人であっても怒って当然だろうと思えるのだ.
それに, 女だからとか, 芸能人だからというだけでバカにするような態度をとることは, Hanasakaの人たちの感覚からすれば非道徳的である以前に非科学的であって野蛮に思えるため, 敵に対する嫌悪感を増長させるのである.
“だから, 私は愛と勇気を語ってみんなを守る役割を捨てないことにした. 私が捨てたとしても誰かがそれを継ぐことになり, その人がまた殺害の予告を受けることになる. であれば, 私がその役割を実践する. たとえそれがいばらの道でも, 私は, 逃げるのはやめようと思う. 私は, これからもKassen communityのUnifierでありたい. そう思った…”
自然とArena全体から大きな拍手が沸き上がった. もうすでにそこに愛と勇気があるからだ.
白々しい演説だと誰も思わないのは, 彼女の声や話し方によるところもある. やや低い声ではっきりと落ち着いて抑揚をつけて大きな声で話す. これはカリスマ性を持つリーダーには欠かせない要素といえる. ただそれだけであれば政治家や名物経営者もやっていることだろう. しかし彼女の場合はもっと特別であった. Garnet EastのRudraが言うように“日頃の徳性のレベル”が違うために, 演技のようには全く思えないのだ. ありのままに話をしているように思えるのだ.
Kasgaは数回, 軽く頭を下げ, 15秒ほどの間, 拍手を受けた後, 右手を上げると会場が静かになり, 再び話し始めた.
“私が愛とか勇気とかそういうことを言うと, 我々を批判する人たちは, やっぱりHanafolkの頭の中はお花畑だとバカにする. 現実を知らず知ろうともしない薄っぺらい理想主義者だと笑う.
“だがよく考えてほしい. そういう人たちは, 現実という妄想に捕らわれ, 一輪の花も咲いていない自分におかしいと感じないぐらい, どうかしているのだ. Fighterたちよ, 心配する必要はない. 我々はいろんな色の, いろんな種類の, 数えきれないほどの花であふれたお花畑だ. ひとりひとりすばらしいし, みんな集まれば最高にすばらしい.
“本当は, 彼らはうらやましいのだ. だからみんな, どうか平常心を保ってほしい. 普段どおりのお花畑を堂々と見せつけることが, 彼らにとっては最大の脅威になるのだ. 怒りに乗じてテロリストたちと同じようなことをする必要はない. 何も恐れることはない.”
このパートは, Hanasakaが実験の遂行のために必要とする多様性を意識しつつ, Matsudaira首相から強く要請されていたメッセージを自然な流れで入れている. リアルタイムで聞いていた彼も, ここのセリフを聞くや, “よっしゃ.”と言って, こぶしを作り喜びの感情をあらわにした.
“だがFighterたちよ. やつらは再び我々を攻撃してくる.”
普段, “やつら”というやや汚い言葉で他人を指すことはしないKasgaはここで, 腰ひもに差していた扇子を抜き, 再び右手に持った.
“やつらは私の命は今年限りだと言った. しかし私は, やつらにみすみすやられたりしない! やられるわけにはいかない.
“最初は小さなイベントだったKassenがFighterたちの活躍と関係する皆さんの努力によって, 世界中の人に愛される大きな存在になった. これは皆さんの成果だ. 本当に頭が下がる. そして我々を温かい心で支えてくれるファンの皆さんには感謝の気持ちでいっぱいだ.
“だからこそ, 私がここでテロリストに殺されるなどという血塗られた歴史を作るわけにはいかない. 私がテロリストから逃げたという歴史も作りたくない. まして, こうしたテロを理由に, 私たちが暴力を助長し不吉な存在だからと, Kassenそのものが廃止されることになるのは本当に悲しいし受け入れられない.
“私はKassenを続けたい. Kassenはルールに従って競うスポーツだ. みんなの心をつなぎ, 楽しんでもらうイベントだ. Fighterたちよ, 我々は我々の信念を貫こう. 不安や恐怖に負けずに普段どおりを貫こう.”
Kasgaは左足を一歩引いて少し体を後ろに向け, 背後に掲揚されているFour Heart Flagを左手で鋭く指した.
“Fighterたちよ. 私はあのFour Heart Flagの下で誓おう. 2代目Unifier, Kasga Wisteriaは, 敵前に立ち一歩も引かぬと誓う! そして絶対に殺されないと誓う!”
そう言い終るや否や場内から大きな歓声と感嘆の拍手が起こった. まだ30の齢を重ねたばかりの女性がテロリストたちに数か月以内に殺すと公言されているにもかかわらず, この威風堂々とした態度は何だろう. 2代目Unifierは恐るべき度量のある魂胆を持っているに違いないと皆がそう思った.
しかしKasgaはその声援に応えて手を振るようなこともせず, さっと体を後ろに向けて腰ひもに差していたKasga専用の護身のdaggerを抜いた.
いったい何をしようとするのか, 皆が注視する中, 彼女は, 白いひもで束ねられた長い黒髪を左手でつかんで持ち上げ, 右手に持ったdaggerのbladeを上に向けそのひもの結び目の少し上の辺りに押し当てた. そしてFighterたちに背を向けながら, 左手でその束ねられた髪を力強くつかみ, 右手でdaggerを慎重に押し上げながら髪を切った.
切り取るやKasgaは, その髪の束を先ほどの儀式で使ったお膳の上に静かに置き, 一礼し, ひと呼吸おいたうえで, 皆のほうに振り返り, daggerをscabbardにカチンと納めた. ここで彼女はほんのわずかの笑みを見せた. しかしそれも束の間, Kasgaは両手を腰に当ててこれまでで最も大きな声で言い放った.
“Fighterたちよ! さあ, これからだ! 反撃を始めよう! 力を合わせば, 決して負けることはない! 私はいつも皆とともにいる. この断髪は私の決意の証. 皆との契りの証. 約束する. だから皆も約束してほしい. 誇り高き者たちよ! ともにKassenの火を守ろう! ともに城の魂を守ろう! ここまで築き上げた我らの汗と涙の結晶を, いつまでも, 永遠に, 輝かせよ!”
一気にそう言って握り締めたこぶしを高々と振り上げると, Fighterだけでなく観客も含めて全員から“オーッ”なのか“ワーッ”なのか分からない, 大きな大きな興奮の絶叫と盛大な拍手が沸き起こった.
“Kasgaさーーん! すてきー! どこまでもついていきますー!”
KeikoはKasgaの力強い演説にしびれまくり, 無邪気に何度も飛び跳ねてKasgaに両手を振った.
“抜刀!”
最後にみんなで士気を上げるための叫び声を一斉に上げるために, Kasgaが素早く右手でswordを抜いて高く上げ, Fighterたちに, 持っているswordをscabbardから抜くよう指示した. そして全員が抜刀してその手を上げたことを確認すると, 左手のこぶしを握り締めた.
“皆の者! 団結せよ!”
“オーッ!”
“行動せよ!”
“オーッ!”
“撃退せよ!”
“オーッ!”
そしてKasgaはさらにswordを高く掲げ, “Battle cry!!”と叫ぶと, “オーーーーッ!!”と, Fighterのみならず観客も一緒に皆で一斉に, マイクが壊れるぐらいの大きな声で叫び, そしてそれは各自が息を継ぎながら1分近く続き, Arena全体がKassen史上, 最高に盛り上がり, 汗が噴き出すほどの熱い一体感を生成した.
“ありがとう. 本当にありがとう. ご来場の皆さんも本当にありがとうございます.”
彼女は, swordを下ろしてscabbardに収め, そこで初めていつものように歯を見せ, 万人の心をとろけさせる笑顔を見せながら手を振り, 皆の歓声に優しく応えた.
Director Prishaは, 東側スタンドにあるKassen Representative Councilのメンバー用の席で, 立ち上がって拍手をしながら, 壇上のKasgaを涙目で見つめていた.
“Harunaさん. 天国からご覧になっていますか? あなたの最愛の妹Kasgaさんが, あなたの遺志を見事に受け継ぎ, ついにやりましたよ. 2代目Unifier…, なんてすばらしい. この熱気. この一体感. Harunaさんのおっしゃったとおり, 彼女は偉大なUnifierになるでしょう.
“我々は, あなたを失い, 前市長を殺され, 徐々に追い詰められる中, あなたの遺志を具現化する裏コードを完成させた. そしてやつらがKasgaさんに刃を向けたことが分かるや, ルビコン川を渡り, それを発動させた. もう後戻りはできないことは分かっているものの, 私たちは本当にうまくいくのか不安でいっぱいだった. 今日まではそうだった.
“でも, Kasgaさんの演説で希望の光に照らされた道が目の前に現れた. 多くの人が感動し, 幸せな気持ちでいっぱいになった. これでFloraの‘CCP’は一気に70ほど上がって, 600を超えたでしょう.
*“Harunaさん, 私は…, あなたを守り切れなかったことを今でも悔やんでいます. だから, 次は絶対に失いません. Kasgaさんは我々が必ずお守りします. どうか, Hanasakaの守り神よ, 天国で優しく私たちを見守ってください.”
補足: CCPについて “CCP”は, Castle Officeの人たちが使っていた用語で, Floraの攻撃力と防御力の合計値を意味する. 正式にはCombined Combat Powerという.
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